Cさん(大田区在住)
事務職から転身し、現在都立看護学校2年生。看護学校受験を決めてからは、受験準備のかたわら、看護助手も経験し、第一志望の都立看護学校に社会人入試で見事合格されました。ご家族は、お母さまと小学2年生のお嬢さん、愛犬2匹です。
インタビュー
会社都合退職を知ってからのスピード決断
— 看護学校はいかがですか。大変と聞きますが…。
社会人経験があったせいか、そこまで厳しいという印象はないですね。私の通っている学校は社会人経験者が半分近くいて、年齢も20代~40代後半と幅広いです。授業は16時半には終わり、娘のお迎えをして、家事が終わるのが22時くらい。その後に課題をこなしたり、テスト勉強をしています。看護師はよく「チーム医療」と言われますが、学校でも同じことを言われています。一人では乗り越えられない課題やテスト勉強も手分けして調べ物をしたりして、何とか乗り切っています。年齢的にも新しいことを覚えるたびに前に覚えたことを忘れてしまったり、勉強も難しくて理解できないことも多いのですが、毎日楽しく過ごしています。
— 充実した日々を送っていらっしゃるようですね。事務職をなさっていたCさんが看護学校受験にチャレンジされた経緯を教えていただけますか。
看護師という職業自体は、娘を出産したときから頭の片隅にありました。勤務先を会社都合で辞めることになってしまった時に、いろいろと考えたんです。
「焦って何でもいいから仕事を探してまた同じことになったら…、年齢的にも次は仕事がちゃんとあるのか…、やっぱり専門的で長く働ける仕事がいいな、看護師ってどうなんだろう」って。
区役所のひとり親相談窓口でその気持ちを少し話してみたら、専門実践教育訓練給付金など、利用できる制度などをいろいろと調べてくださいました。費用面の不安がなくなっただけではなく、育児をしながら学校に行くというイメージがもてたことで、これならチャレンジできる!と思ったのです。仕事を辞めなくてはいけないとわかってから約1か月での決断でした。
さらに、ハローワークのひとり親担当の方につないでいただき、受験までの間の仕事として看護助手のパートまで見つけてくださったんです。おかげで、受験勉強をしながら現場の雰囲気を感じることができました。
— 至れり尽くせりですね。はあと飯田橋に初めて来所されたのもちょうどその頃でしたね。
はい。第一志望が試験科目に小論文がある社会人入試だったので、はあと飯田橋で小論文添削をお願いしました。それまで小論文を書いたことがなかったので、受験願書からすべて指導していただきました。小論文添削は10回以上お願いしたと思います。書き方のコツをつかめてくると、どんな問題が出てもすらすら書けるようになり、だんだん楽しくなってきました。
第二志望は一般教養の勉強が必要な学校だったのですが、勉強方法もはあと飯田橋で相談して、まずは一番初めの試験である第一志望校の小論文対策に集中することにしました。第二志望の勉強はそれからでも間に合うからと。何としてでも合格したい、必死でした。
ご家族の応援を糧にして
— 合格されたとき、お子さんはどんなご様子でしたか。
私が看護学校に入学する年に娘もちょうど小学校入学となり、ダブルで入学式だったんです。入学式前に引っ越しをして友達が誰もいない中での入学式、娘もちょっと不安だろうなと思いました。そんな時期だからこそ娘ときちんと向き合い、これからのことを話しておこうと思いました。「ママはこれから3年間学校に行く。仕事も辞めるし、忙しくなってあまり遊びに連れて行ってあげられないかもしれないし、無理できなくなっちゃうけど大丈夫?」当時6歳だった娘がわかってくれるか心配でしたが、「わかった」と納得してくれました。
入学後は私が勉強している時は一緒に隣で宿題をしてくれたり、終わると別の部屋で遊んでいてくれたり、協力してくれます。同居の母は、フルタイムで働いていて朝も私より早いので、協力してもらうのは難しいのですが、たまに実習で遅くなる時はお迎えをお願いしています。
ーいろいろな形でご家族の理解と協力があるのですね。はあと通信を読まれている方にメッセージをお願いします。
何か新しいことを始める時って、自分の頭の中だけで考えていてもなかなか一歩が踏み出せなくて、時間だけが過ぎてしまうことがあると思います。でも、一度言葉に出すと、あっという間にどんどん進んでいくんだなと実感しています。私も言葉に出したことで本当にいろいろな方が助けてくださいました。ひとり親だと制限があって新しいことにチャレンジするのが難しいと思いがちですが、自分だけで頑張らずに周りに上手に頼ってみることで、できることが増えていくと思います。
インタビューを終えて
はあと飯田橋では毎年看護師を目指す方向けのセミナーを実施しています。Cさんにはそのセミナーでも体験発表をしていただきました。控えめながらも凛としたたたずまいで、心のこもったお話を伺い、一歩踏み出す勇気をいただいた気がします。